プログラムを作るとき、初心者が理解すべき重要なポイントがあります。
それはパスです。パスとはプログラムの住所みたいなものです。
パスを指定することで、目的のファイルに行きつくことができます。
ここでは、相対パスと絶対パスの違いや、ファイル名の付け方、フォルダ構成の重要性について説明します。
1. 相対パスと絶対パス

プログラムの中でファイルの場所を指定するときに使うのが「パス」です。
パスには「相対パス」と「絶対パス」の2種類があります。
それぞれの違いと使い方を理解することが大切です。
相対パス
- 相対パスは、今いるフォルダ(カレントディレクトリ)からの位置を基準にして、他のファイルやフォルダを指定する方法です。
- 相対パスは、作業する場所が変わると使えなくなることがあります。
- 「
../
」が多くなると、どこを指しているのか分かりにくくなることがあります。
例: src/
にあるファイルから utils/
にあるファイルを使う場合、../utils/file.py
と書くとしますが、カレントディレクトリが変わると動かなくなることがあります。
絶対パス
- 絶対パスは、コンピュータのルートディレクトリからの完全なパスを指定する方法です。これにより、ファイルの正確な場所を指定します。
- 絶対パスを使うと、環境(他のコンピュータなど)が変わったときに動かなくなる可能性があります。
例: C:/project/src/utils/file.py
のように絶対パスを使うと、別のパソコンで同じ場所にファイルがないと動きません。
おすすめ: 同じプロジェクト内でファイルを使うときは、できるだけ相対パスを使うと、柔軟に対応できて便利です。
2. ファイル名の重要性

ファイル名はパスに直接関係しています。
ファイル名が変わると、そのファイルを参照しているすべてのパスも変更しなければならないため、適切なファイル名を付けることが非常に重要です。
適切なファイル名を付けることで、プログラム全体が理解しやすく、管理しやすくなります。
ファイル名に関するよくあるミスと解決策
◆ファイル名をむやみに変更する
- ファイル名を変更すると、それを参照しているすべてのコードのパスも変更する必要があります。変更を忘れると、プログラムが動かなくなります。
解決策: ファイル名を変更する前に、そのファイルを使っているコードをすべて確認し、変更が必要な箇所を見逃さないようにしましょう。
◆ルールの一貫性がない
- 名前の付け方に一貫性がないと、どのファイルが何をするのか分かりにくくなります。
解決策: snake_case
(例: file_name.py
)や PascalCase
(例: FileName.py
)など、ルールを決めて使いましょう。
◆名前が短すぎる
- ファイル名が短すぎると、そのファイルの役割が分かりにくくなります。
解決策: 具体的な内容が分かる名前にすることで、コードを理解しやすくします(例: settings_handler.py
)。
注意: ファイル名を変更する場合、他のコードでの参照部分(パス)も必ず修正しましょう。それにより、他の開発者がコードを見たときにも理解しやすくなります。
3. フォルダ構成の重要性

フォルダ構成はプログラムの整理整頓に大切です。
初心者はファイルを自由に移動しても大丈夫と思うかもしれませんが、そうすることでパスが正しく機能しなくなり、プログラムが動かなくなることがあります。
フォルダ構成でのよくあるミスと解決策
◆ファイルを勝手に移動する
- ファイルを別のフォルダに移動すると、そのファイルを参照しているコードのパスも変更する必要があります。これを忘れると、プログラムが動かなくなります。
解決策: ファイルを移動する前に、そのファイルを使っている場所をすべて確認し、パスを修正しましょう。
◆フォルダの役割が不明確
- 役割が不明確なフォルダ構成では、どのファイルがどの機能に関係しているのか分からなくなります。
解決策: 役割ごとにフォルダを分けると良いです。
models/
(データを管理するファイル)views/
(ユーザーに見える部分を管理するファイル)controllers/
(処理のロジックを管理するファイル)
◆フォルダ階層が深すぎる
- フォルダが多すぎると、ファイルの場所がわからなくなり、管理が難しくなります。
解決策: フォルダ階層は3~4階層以内にとどめ、簡潔にまとめましょう。
◆共通リソースの管理が不適切
- 画像やスタイルシートなど、みんなが使うリソースがいろんな場所に散らばっていると、管理が面倒になります。
解決策: 共通リソースは一つのフォルダにまとめましょう(例: assets/
フォルダを作成し、その中に images/
や styles/
を配置)。
注意: フォルダ構成を変更する場合、関連するコードのパスもすべて確認して修正しましょう。これにより、プログラムが正しく動き続けることができます。
まとめ

- 相対パスと絶対パスを正しく使い分けることで、プログラムの移植性を高める。
- ファイル名は一貫性を持たせ、むやみに変更しないことで、パスが正しく機能し、他の開発者にとっても理解しやすいコードを維持する。
- フォルダ構成はシンプルで役割が明確になるようにすることで、プログラムのメンテナンス性を向上させる。
これらのポイントを守ることで、プログラムが動かなくなるミスを減らし、効率的で理解しやすいコードを書くことができます。